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私たちは もう待てない=国際保健課題に関する日本・世界の市民社会の共同声明=
今こそが、その「時」だ。それは明日ではない:よもや別の、もっといい季節などではない。私たちが、能力を最もよく発揮できるのは今日だ:それはいつかある未来の日、ある未来の年ではない。明日をもっと偉大な、よりよい日にすることができる日、それは今日だ。今日は種まきの日、今こそ、仕事のときだ。そして明日が来る=刈り取りの、そして祝祭の日として。 W. E. B. デュボア
21世紀の夜明けに、私たちは「ミレニアム開発目標」を手にした。戦争と収奪の世紀としての20世紀と訣別し、平和で持続的な、人間の安全保障の確立した世界を築くために、それは必要であった。同じ年、G8の首脳たちは沖縄の地で、感染症との闘いの拡大を高らかに宣言した。その後、数多くの誓約が、宣言が、方針が、約束が、イニシアティブが、そして新たに設立された諸機関が、私たちの前に積み上がった。 これらの政策の中で、最も重要なもののひとつが、2005年にG8がグレンイーグルズにおいて採択した「2010年までのHIV予防・治療・ケアの普遍的アクセスの実現」という目標であった。
8年間、多くの前進はあった。百数十万人が、エイズ治療薬を手にした。数千万人が自発的なカウンセリング・検査を受けた。数千万人がマラリアの脅威から身を守る蚊帳を入手した。同じく数千万人がDOTSによる結核治療にアクセスした。
しかし、同じ8年の間に、命を救われた人々の数の何倍もの子どもたち、妊婦たち、子どもを育てている母親たちが、感染症によって、呼吸器疾患や下痢症によって、妊娠や出産の不全によって、予防・治療可能な原因によって命を奪われた。さらには、特に貧困な地域において、圧倒的に多くの人々が、いまだに三大感染症の予防・治療へのアクセスに困難を抱えている。
私たちはもう待てない。世界はこれ以上待てない。世界の統治に責任を持つと自称するG8諸国の、人間の安全保障の確立への遅い歩みを、私たちはもう待てない。数千万人の命を救い、保健に関する国際目標を達成するための資金の拠出が遅れに遅れていることを、私たちはもう待てない。G8諸国の指導者たちが、自ら為した約束を達成するスピードのその遅さを、私たちは、もう待てない。
2008年のG8サミットは、北海道・洞爺湖で開催される。「トウヤ」とは、北海道の先住民、アイヌの言葉で「岸辺」を意味する。G8の指導者たちが、世界に向かって山と積んだ約束と誓約を果たすための、これが最後の機会だ=私たちは、その岸辺で、約束が果たされるのを待つ。何をすべきか、それはすでにわかっている。行動なしには約束も誓約も無意味であること、それもすでにわかっている。残されているのは最も重要なこと:すなわち、約束を果たすために、今、行動することなのだ。
1. G8サミットにおける公式成果文書について
G8諸国政府は、以下のことを実施する必要がある。
(a) G8北海道洞爺湖サミットのコミュニケに、国際保健の現状について言及する項目を盛り込むこと。また、それとは別に、保健に関するミレニアム国際目標および関連する保健関連国際目標の達成に向けた行動のための、包括的で共有された枠組み文書を作成すること。
(b) 上記の共有された行動のための枠組み文書に加え、保健関連ミレニアム国際目標および関連する保健関連国際目標の達成に向けた現状の進行状況に関する報告書、および当該国際目標の実現に向けたG8諸国の資金的貢献の現状に関する報告書を作成すること。当該報告書には、昨年ドイツ連邦共和国政府によって発表された「HIV/エイズ・結核・マラリアの三大感染症への闘いに向けたG8諸国の実績の検証」(A Review of the Work of the G8 in the Field of Tackling the Three Pandemics HIV/AIDS, Tuberculosis and Malaria)に記述された項目がすべて盛り込まれていなければならない。
(c) 上記に関して、女性と少女(women and girls)が、国際保健の改善のためのイニシアティブに特に大きな影響を受けること、ジェンダー平等へのコミットメントが国際保健の改善の成功のために不可欠であることを認識し、反映すること。
2. G8における国際保健課題の恒久的課題化、および保健に関連するコミットメントの確実な把握・検証・評価プロセスの構築について
G8諸国政府は、以下のことを実施する必要がある。
(a) G8諸国は、国際保健課題への取り組みの重要性にかんがみ、国際保健をG8の恒久的課題とすること。
(b) G8において、ミレニアム開発目標および、2010年までのHIV/エイズ治療・予防・ケアへの普遍的アクセスの実現など、国際保健にかかわるG8のコミットメントの達成に向けた進展状況を年毎に検証・評価するためのメカニズムを構築すること。さらに、各国が有するコミットメント達成の責任の重要性にかんがみ、当該国際目標の進展状況に向けた各国の貢献をお互いに検証し(Peer Review)、財政的な貢献を十分行っていない国に対しては、これに助言を与えるメカニズムを構築すること。
(c) さらに、当該検証・評価メカニズムにおいて、国連機関・国際機関および市民社会の参画と意見表明の機会を保障すること。
3. 保健医療従事者の増員と保健システム強化について
(a) 私たちは、保健システム強化に関して、具体的な数値目標や明確で持続的な資金拠出の目標をもたないあいまいな誓約を認めることはできない。
G8諸国政府は、以下のことを実施する必要がある。
(a) G8諸国は、保健医療従事者の不足の問題に対処するため、途上国において1000人あたり2.3人の医師・看護師・助産師を含む4.1人の保健医療従事者を確保するという世界保健機関(WHO)の目標達成に向けた支援を行うこと。
(b) G8諸国は、2015年までにアフリカにおいて新たに150万人、途上国において新たに430万人の保健医療従事者の訓練と定着を支援すること。また、この目標について、サミットにおける今後の進捗状況報告書に含めること。また、2012年までにアフリカにおいて新たに60万人の保健医療従事者を確保するといった中間目標を設定すること。
(c) これに加え、G8諸国は、保健医療従事者の先進国や富裕国への流出の問題に対処するために、保健医療従事者の移民に関する「実施規範」(code of practice)の制定に合意し、実施すること。
4. 現存するコミットメントの実現に関して
G8諸国政府は、以下のことを実施する必要がある。
(a) G8諸国は、2005年のグレンイーグルズG8サミットで最初に誓約され、2007年ハイリゲンダムG8サミットで、女性および子どもを含むHIV感染に最も脆弱な人々の需要に特別の配慮を行う旨の付託条件が加えられた「2010年までのHIV治療・予防・ケアへの普遍的アクセス」目標の実現に向けた意思を再確認すること。
(b) G8諸国は、2010年までのHIV/エイズの治療・予防・ケアの普遍的アクセスの実現のための包括的な資金拠出および行動計画に合意し、これを発表すること。当該国際目標の達成のためには、現在のHIV/エイズ対策資金を4倍にし、2010年段階で400億ドルの資金を拠出することが必要となる。
(c) 2007年ハイリゲンダムG8サミットで約束された、三大感染症および保健システム強化に関する当面600億ドルの拠出誓約について、「誰が、いつまでに、いくら拠出する」ことを達成期限付きで示した明確な計画を形成・発表すること。一方で、当該600億ドルでは、エイズ・結核・マラリアで毎年、不必要な死を迎える600万の人々を救うには充分でないことも明記されなければならない。2009年一年間に限っても、エイズ・結核・マラリアおよび保健システム強化・保健医療従事者の増員に関して、400億ドルの資金が必要である。
(d) 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)が2010年までに年間60-80億ドルまで予算規模を拡大できるように、また、2008年に追加的な新規案件募集を行えるように、充分な資金を供給すること。
(e) G8諸国は、HIV/結核の二重感染、多剤耐性結核(MDR-TB)および超多剤耐性結核(XDR-TB)等の緊急の課題に対処すると共に、結核の有病率と死亡率を2015年に1990年レベルから半減することを掲げる「ストップ結核世界計画」の実施と支援を行うこと。
5. 新たなコミットメントについて
G8諸国政府は、以下のことを実施する必要がある。
(a) ミレニアム開発目標4(子どもの死亡率の削減)およびミレニアム開発目標5(妊産婦の健康改善)、ならびに「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・サービスの普遍的アクセスの実現」を含む、子ども、出産、リプロダクティブ・ヘルスに関する各種国際目標については、達成に遅れが見られる他、これを促進する国際的に合意された計画が充分な形で存在していない。G8諸国はこれらの問題に取り組むための具体的な行動計画を策定すること。また、世界保健機関(WHO)および国連人口基金(UNFPA)がこれらの実現に向けた必要資金として算出した、年間102億ドルの追加的な資金を供給すること。
(b) 水及び衛生に関する資金拠出計画の策定について、
毎日5000人の子どもたちが、清潔な飲み水へのアクセスがないことにより、命を落としている。国連開発計画(UNDP)によれば、水及び衛生に関するミレニアム開発目標を達成するには、年間100億ドルの資金が必要である。G8諸国は、具体的な資金拠出計画に基づき資金拠出を行うこと。
(c) 栄養・食料安全保障および近年の急激な食料価格高騰について、
G8諸国は、HIV陽性者およびHIVの影響を受けた人々の適切な栄養の確保と食料安全保障の確保のために、短期的・長期的に必要な対策を行うこと。G8は食料危機をもたらした当の経済政策および経済機構について、それを食料危機問題の解決策として描くべきではない。
6. 保健に関わる各種援助の連携促進および保健関連ミレニアム開発目標の達成について
G8諸国政府は、以下のことを実施する必要がある。
(a) G8諸国は、各種の保健関連機関、政策およびイニシアティブの間の調整が不足していることによって生じている非効率な援助の問題を克服するため、保健関連ミレニアム開発目標の達成のための各種援助の連携の促進に向けた努力を行うこと。一方、援助の連携の促進は追加的な資金の拡大を伴うものでなければならず、保健システム強化と特定疾病対策の優先順位を低下させたり、充分な資金拠出を行わないことの理由付けとして使われてはならない。
(b) 援助の連携促進は簡潔で透明性のある形で行われなければならず、また、全ての段階に於いて、市民社会を含む全ての関係者の参画が保障されなければならない。
(c) G8諸国は、プライマリー・ヘルス・ケア・サービスについて、距離・経費・至便性の観点においてアクセスを最大化する必要がある。受益者負担の撤廃は、とくに最も脆弱な人口層がサービスにアクセスする上で重要な選択肢である。
内容なき会議、行動なき約束、影響を受けている人々の声なき組織機構は必要ない。私たちが求めているのは、責任とアカウンタビリティ、そして、人間が治療・予防可能な原因で命を落とすことのない世界である。
以上
本件声明に関する連絡先
2008年G8サミットNGOフォーラム 保健医療ワーキング・グループ
担当:稲場雅紀、小川亜紀
(特活)エイズ&ソサエティ研究会議 プロジェクトRING
(特活)アフリカ日本協議会
連絡先:東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
電話:03-3834-6902
メール:masaki.inaba〇gmail.com, ogawa.aki.adua〇gmail.com, project.ring〇gmail.com
※ 〇を@に変えてご連絡ください。
本件声明に賛同した団体 (2008年6月23日現在)
(日本の団体)
2008年G8サミットNGOフォーラム 保健医療ワーキング・グループ(15団体)
(特活)アフリカ日本協議会
(特活)エイズ&ソサエティ研究会議
(財)エイズ予防財団
(特活)オックスファム・ジャパン
(財)結核予防会/結核研究所
国際エイズ・ワクチン推進構想(IAVI)
(特活)シェア=国際保健協力市民の会
(財)ジョイセフ
女性と健康ネットワーク
すぺーすアライズ
(特活)世界の医療団
(財)日本フォスター・プラン協会
日本リザルツ
(特活)HANDS
(特活)ワールド・ビジョン・ジャパン
(海外の団体:英語名称のみ)
Argentina Mulabi- Espacio Latinoamericano de Sexualidades y Derechos
Foundation for Studies and Research on Women (FEIM)
Cameroon Cameroon Coalition Against Malaria
African Action on AIDS (AAA)
Positive-Generation
Reach Out
Fogué Foguito Positive-Generation
Canada Action Canada for Population and Development (ACPD)
The Canadian HIV/AIDS Legal Network
Interagency Coalition of AIDS and Development (ICAD)
Results Canada
Students Against Global AIDS
Canadian Grandmothers for Africa
Comoro/France Fédération des Associations Comoriennes de France
China Beijing Aizhixing Institute
Hong Guang Alliance
Democratic Republic of Congo Conseil Mondial de Soins
France AIDS Coalition to Unleash Power Paris (ACTUP Paris)
AIDES
Equilibres &Populations
French Family Planning Movement
Médecins du Monde France
PLUS, Coalition Internationale Sida
SIDACTION
Germany Bread for the World
German Foundation for World Population (DSW)
Ghana African Media and Malaria Research Network (AMMREN)
Ghana Voices for Malaria-free Future Project
India Delhi Network of Positive People (DNP+)
EMPOWER India
JEEWAK WELFARE SOCIETY NAGPUR
MAMTA -Health Institute for Mother and Child
World Care Council, India
Italy Associazione italiana donne per lo sviluppo
Ossevatorio Italiano sull'Azione Globale contro l'AIDS
Liberia Millennium Campaign-Liberia
Kenya Ambassadors of Change
Youth Intercommunity Network
WEM Integrated Health Service
Kosovo Little People of Kosova
Malawi Youth Net & Counselling (YONECO)
Malaysia Positive Malaysian Treatment Access & Advocacy Group (MTAAG+)
Mexico El Closet de Sor Juana
Myanmar NGO Gender Group
Nepal Nyaya Health
Safe Motherhood Network Federation
Netherlands International Civil Society Support
New Zealand New Zealand Family Planning International
Nigeria Association Of Civil Society Organisations in Malaria Immunization and
Nutrition
Communication for Development Centre
Journalists against AIDS (JAAIDS) Nigeria
Treatment Action Movement
Norway the Norwegian heart and Lung patient Organization
Norwegian Association for Sexual and Reproductive Health and Rights (NSRR)
Philippines Positive Action Foundation of the Philippines Inc (PAFPI)
The Development Action for Women Network (DAWN)
Republic of South Africa Treatment Action Campaign (TAC)
Oxfam GB Southern Africa-Regional Management Centre
Spain Instituto de Cooperacio'n Social
Somalia Somali socio cultural organization (SOSCO)
Sri Lanka Community Development Services, Sri Lanka
Tanzania Tanzania National Malaria Movement Trust
Trinidad and Tobago Youth Advocacy Movement Trinidad and Tobago
Uganda Care and Share Foundation
United Kingdom VSO International
Stop AIDS Campaign
Student Stop AIDS Campaign
United States Africa Action
The American India Foundation
Center for Women's Global Leadership
Community HIV/AIDS Mobilization Project (CHAMP)
Global AIDS Alliance (GAA)
Global Health Council
Health Global Access Project (Health GAP)
Ipas
Partners in Health
Path
Physicians for Human Rights (PHR)
Population Action International
Results Educational Fund (REF)
Treatment Action Group (TAG)
United States Coalition for Child Survival (USCCS)
Venezuela Action Ciudadna Contra el SIDA (ACCSI) - LACCASO
Zimbabwe Zimbabwe Association of Doctors for Human Rights
Zimbabwe Association of Church Related Hospitals (ZACH)
Africa African Civil Society Coalition on HIV/AIDS
Africa Public Health Rights Alliance/ 15% Now! Campaign
African Council of AIDS Service Organizations (AfriCASO)
Afro Global Alliance International
Princess of Africa Foundation
East Africa Eastern African National Networks of AIDS Service Organizations (EANNASO)
Asia & Pacific Asia and Pacific Council of AIDS Service Organizations (APCASO)
Asian Harm Reduction Network (Thailand)
Asia Pacific Network of Sex Workers (APNSW)
Europe Action for Global Health
Latin America/Carribbean Red Latinoamericana de Personas viviendo con VIH/SIDA (RedLA+)
International Action Aid International
Ecumenical Advocacy Alliance
Family Care International
International Council of AIDS Service Organizations (ICASO)
International Planned Parenthood Federation (IPPF)
International Treatment Preparedness Coalition (ITPC)
International AIDS Women Caucus (IAWC)
International Women's Health Coalition (IWHC)
Malaria Consortium
Open Society Institute
Oxfam International
Pathfinder International
United Youth Front International
United Methodist Church, General Board of Church & Society
World AIDS Campaign
(個人による賛同*)
Javier Hourcade Bellocq, Board Member of the Communities living with HIV, Tuberculosis and affected by Malaria Delegation, the Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria
Elizabeth Mataka, Board Member of the Developing Country NGO Delegation, the Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria (Vice Chair of the Board of the Global Fund, Special Envoy for AIDS in Africa of UN Secretary General)
Asia Russell, Board Member of the Developed Country NGO Delegation, the Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria
Myung-Hwan Cho, President of AIDS Society of Asia and the Pacific
*他に、以下の個人が本声明に賛同している。
Gladis Adriana Vélez Álvarez, Columbi (Columbia), Joel Bayubasire Djanda (Democratic Republic of Congo), Konjit Kefetew (Ethiopia), Swedi Ismail Martha Mesfin (Ethiopia), Victoria Tettey (Ghana), Lena Addy, James Frimpong (Ghana), Dr Komla Ofosu (Ghana), Dr Atsu Seake-Kwawu (Ghana), Jashodhara Dasgupta (India), Ritu Kumar Mishra (India), Dr. Manmeet Kaur (India),Benson Williesham Milimo (Kenya), Azita Amireh (Iran), Sysavanh Phommachanh (Laos), Dr Geetha Rana (Nepal), Adamu Sa'adu Ajingi (Nigeria), Rose Iwueze (Nigeria), Dare Adeoye (Nigeria), Hajarat Suleiman (Nigeria), Dr Manzoor Butt (Pakistan), Ahmed Ali (Pakistan), Dr. John Theopista (Tanzania), Esther Opoka (Uganda), Margaret Nalugo (Uganda), Mavis Akotey, MacDonald Bubuama, Mbony Wilson, Nchotu Regina Akwanui, Foluke Akingbade, Isaac Bwire, Crissy Mupuchi







