7月9日
2008年G8サミットNGOフォーラム/保健医療ワーキング・グループ
洞爺湖サミット、保健関連NGOの期待に十分応えられず:総合評価は「C-」
=「洞爺湖」は国際保健史に刻印されるか?それは今後にかかっている=
「沖縄サミットの成果をもう一度」:国際保健にかかわる市民社会の期待を背負って開催されたG8北海道・洞爺湖サミットは、7月9日、開発・アフリカにかかわるG8首脳コミュニケと、G8の保健専門家会合の報告書としての「国際保健に関する洞爺湖行動指針」という二つの文書を発表して閉幕しました。
沖縄サミットが、HIV/エイズなど感染症を開発の主要課題とすることで国際保健の歴史に名を残したことを踏まえ、今回の洞爺湖サミットでは、感染症だけでなく、母子保健や途上国の保健医療従事者の増員など、対策が不十分な分野に光をあて、保健関連「ミレニアム開発目標」の達成を実現することが目標となりました。昨年11 月、高村正彦外相は洞爺湖サミットに向けて「国際社会が共有する保健行動指針」を作ることを表明、日本政府はそのためにG8 保健専門家会合を2月以降3回開催して、洞爺湖に向けた舞台作りに努めました。
「今回の洞爺湖サミットで特筆すべきは、保健政策作りに関して、市民社会と政府の連携が大きく進んだことです」と、G8NGO フォーラム貧困開発ユニットの石井澄江代表は述べました。「日本のNGO も、洞爺湖に向けた政策作りに大きく貢献しました」
しかし、発表されたコミュニケおよび「行動指針」は、市民社会の期待に十分応えられるものではありませんでした。途上国の保健医療従事者増員の課題については、途上国で1000 人あたり2.3 人の保健医療従事者確保を目指すという数値目標が入るなどしましたが、それに向けた特別な資金コミットメントはなく、進展は限定的でした。大きな前進が見込まれた母子保健に関しても、各国の思惑の違いから、大胆な目標設定は阻まれました。最大の問題は、保健に関する資金コミットメントに前進が見られなかったことです。
昨年、ハイリゲンダムで約束された「三大感染症と保健システム強化」への「当面」600 億ドルの拠出誓約について、コミュニケでは「5 年」という達成期限が決められました。しかし、各種国際機関の資金ニーズ推計によれば、三大感染症と保健システム強化には5 年間で合計1700 億ドル程度の資金が必要とされており、主要8カ国の支出合計が600 億ドルにとどまれば、対策は著しく後退することになります。
「行動指針では、G8 がなすべきことがたくさん書かれていますが、お金がなければ、アフリカを含めた世界全体で保健MDGs を達成することは出来ません」と、G8NGO フォーラム保健医療ワーキング・グループ代表の稲場雅紀氏は述べます。「G8 に期待されているのは『お金を出す』ことです。今回のサミットは、この点で失敗でした」
今回のサミットでの保健課題の達成を評価するために、NGO は「成績表」を作りました。全体の総合評価はA~Fの5 段階評価で「C-」でした。その中でひとつ、「A-」がついたのが、「アカウンタビリティ」です。洞爺湖サミットでG8 は、保健課題でのG8 各誓約の実施状況について評価するメカニズムを設置することに合意しました。しかしこれも、今後イタリア、そしてカナダと引き継がれるG8 で有効活用され、最終的にその成果が途上国の人々の保健向上に直接、役にたたなければ意味がありません。市民社会は今後への期待を込めて「A-」をつけました。「洞爺湖サミット」が国際保健史に名を残せるか、それは、今後のサミットプロセスへの日本の指導力にかかっています。
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